第88回【非常勤講師特別コラム】第4回「忘れられない看護師長さんからの言葉」
こんにちは。
私は2021年度から非常勤講師として生化学を教えています。
薬学部を卒業して以来、薬剤師畑で社会貢献をしてきました。
一番長い勤務先は大学病院の薬剤部です。
大学病院は薬学部の学生さんの実習を受け入れています。
当時、私は薬剤部の薬剤師として薬学部生の実務実習を一部担当していました。
その実習の一環で、薬学部生をつれて病棟見学をすることになりました。
当時の病棟のある看護師長さんに事前にその旨をお伝えして、決まった時間に病棟に薬学部生を引率しました。
病棟に行ってからは、看護師長さんに説明や見学のルートなどすべてお願いしていました。
私はそのあとについていく形で様子を見守っていました。
そして、病室に入って患者さんにいろんな話を伺う機会の時に、
その病室の前で看護師長さんは立ち止まり、私を含めた薬学部生にふり返りました。
「患者さんは私たちに対して、白衣を着ている人だから、プライベートなことも含めてすべてをさらけ出してくれます。」
患者さんの前で白衣を着る意味を初めて気が付かせていただいた瞬間でした。
今ではこの言葉が私の薬剤師教育の原点になっています。
薬学部は、物理・化学・生物などの基礎科目を学び、薬理・衛生・薬剤・薬物治療・薬事関係法規・実務などを学んでいきます。
低学年における教育では基礎的な実験を行いますので、有機溶媒や薬品などから自分の体を保護する目的で白衣を着ます。
この経験が薬学部生にはあるので、高学年になっても患者さんの前で白衣を着る意味をなかなか理解できません。
そんな時に私が発する言葉が、看護師長さんからいただいたこの言葉です。
この言葉を使って諭すようにしています。
2021年度から仙台赤門短期大学看護学科で教える機会をいただけたことをありがたく思っています。
忘れられない看護師長さんからのこの言葉を胸に、これからも皆さんの前で生化学を教えていきたいと思います。