第74回隣人
このところ、ロシアによるウクライナ侵攻が世界的な問題となっています。
いつの時代も、領土問題などもあり、隣り合った国同士が対立することがあるように思います。
しかしながら、これは国家間の政治の問題であり、個人個人では近い国同士、行き来も頻繁なので、
仲が良いことの方が多いのではないでしょうか。
私は泉区にある市民センターの韓国語サークルに入っていますが、年に一度、楽しみにしているイベントがあります。
韓国の昌原(チャンウォン)市の、ある教会のメンバー十数人が来日し、東日本大震災で被災し、
家をなくして移り住んだ方々のため、ボランティアで、岩沼市の西中集会所にて、歌・舞踊の披露をしてくださり、
ランチを作って提供してくださるイベントです。
私達のサークルメンバーは日韓交流のためと、韓国の方と被災者の方々の間の簡単な通訳要員として
毎年声をかけていただき、参加しています。
震災の翌年以降、毎年行われており、ボランティアの韓国人の方々は岩沼の他にも
東日本を何箇所か廻るということです。
普段は普通の社会人として働き、その稼ぎの中から来日の渡航費や衣装代、楽器の費用、食事の材料費、
その他、被災者の方や、単なる参加者である私達へのプレゼント代も捻出しているとのことなのです。
本当に頭が下がります。
披露してくださる舞踊は、プロではないけれども毎週練習しているということで非常に見応えがあり、
衣装も華やかで本当に素敵です。
また、お料理もチャプチェやプルコギなど、家庭料理ですが本場の韓国料理ということで、
大変美味しくいただいています。
韓国の伝統舞踊の一つである「부채춤(プチェチュム・扇の舞)」。
両手に扇を持って踊る舞で、韓国の美しさを象徴する伝統芸術です。
被災者の方々は、平日昼なので若い方は働きに出ているという理由もあり、ほとんどがお年寄りです。
おじいさん、おばあさん達から、震災当日、命からがらやっと避難できた状況や、
家族を失ってしまったお話などを直接伺い、毎回涙を流してしまいます。
昌原の方達も号泣しておばあさんを抱きしめたり、手を握って「生きていてくれてよかった」など言ったりしています。
韓国の方、被災者の方とは、毎年参加しているうちに、お互い顔を覚えて、
会うたびに「お元気でしたか?会いたかった!」なとど言い合うようになりました。
韓国の方は感情が豊かで、会ったときと別れるとき、何度となくハグされます。
それも力強く。
日本人同士では仲がよくても普通ハグしたりしないので、ここは国民性の違いかなと思います。
そのハグの温かさに少し気恥ずかしさを感じながらも、
無条件に私達日本人に向けてくれる好意はただただありがたく思います。
政治的に日本と韓国の関係も微妙ですが、個々の国民同士は実際には友人知人として良い関係を築いています。
ウクライナとロシアの国民にも、お互いの国に家族や友人がいる方が多いことでしょう。
一日でも早く、世界が平和な日常を取り戻すことを願います。