第30回特別企画「こんなときだからこそ・・・」(全4回)第2回『ショック症状の一つ、冷汗』
コロナウイルス感染状況により、本学ではビデオによる授業が続いています。
そして先日のゴールデンウイークには、全国民に、不要不急外出の自粛が要請され、私もずっと自宅にこもりました。
仕方なく、本を買い求め(書店に行けないので、アマゾン通販で購入)、久しぶりの読書と相成った次第です。
何を読むかですが、思いきって経済学の本を読むこととしました。
というのは、大学生であった19歳から今の69歳に至る50年間というもの、経済の本は1冊も読んだことがない。
息子の友人がロンドン大学の経済学研究者だというので、紹介してもらったところ、経済学部の学生が読むべき本格的な教科書は、
クルーグマンやマンキューの本らしい。
小生はきっと歯が立たないであろうから、もっと易しい入門書が宜しかろう。
大学に入学して、一般教養として読むべき初級の本。
有斐閣アルマ選書「ベーシック経済学」に落ち着き、取り掛かったわけです。
ところが、ところが、この400頁の入門書ですら、読了するのに丸々6日間。
読書というより、うんうん唸りながらの勉強となりました。
出てくる数式そのものは、1次関数・2次関数・双曲線、これらの導関数、それらのグラフ表示くらいですから、たいしたことはない。
ですが、経済学の概念をモデル化し、数式・グラフと、一つ一つ、対応させながら、1語1句、1行1行、
論理的に厳密に記述されているのを読んで、理解しなければならないのだから、とっても難解です。
用語といったって、利子だのGDP だのなら、何となく聞いたことはあります。
でも、効用、無差別曲線、競争均衡。
とても日本語とは思えない、何を言わんとしているのか分からない用語の頻出です。
それを、1日8時間、6日間の勉強。50年ぶりで勉強したって感じでした。
自分についていえば、医学とか生命科学とかそういうものなら、何となく50年も従事してきたのだから、何となくちょっとは分かる。
今さら特に勉強しなくとも、分かっているような気がする。
学生の皆さんは、なぜに、分からない、なんて、言うのだろう。
分からないなんてこと、ありえない。
易しすぎるくらいじゃないか。
そう、思っていた私は、考えが足りなかったですね。
学生は6日どころじゃない、365日、勉強し続けなければならない。
自分も学生時代は、毎日、勉強していたのだろうか?そう思うと、学生の皆さんを叱咤激励するのは、冷や汗ものです。
(冷や汗でも、叱咤するつもりですが)
でも、たった6日間の勉強ではありましたが、得るところは大きかった。
ミクロ経済学、マクロ経済学の入口の入口の入口、触れただけでも、経済学という学問がものすごい学問らしいことは、
感ずることができました。
老境に至りましたが、学問にもう一度、あこがれることがあってもいいなと思えたのです。