仙台赤門短期大学 看護学科

宮城県仙台市の看護師養成学校|仙台赤門短期大学 看護学科

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教職員コラムリレー
Akamon Column Relay

第122回「ゆく年くる年~年末年始の病棟~」

佐藤 文枝

 年末年始は多くの人々にとって、休暇や家族との時間を楽しむ特別な時期であり、新しい年を祝う機会でもあります。しかし、医療の世界ではこの時期にも患者さんの治療やケアを続けるために、救急外来はもちろん、病棟も、病院は24時間365日営業です。
 看護学生時代に、先生から「この仕事をしていると、元旦に亡くなられる方もいる。」という話を聞き、「看護師は、そういう仕事でもあるのだ」と背筋を正される思いをしたことを覚えています。
 とは言っても、実家から離れて仕事をしているので、せめて年末年始は家族と一緒に過ごしたい。家庭を持っている看護師は「親戚に新年の挨拶に…」など様々な事情はあります。毎年11月頃から、師長さんが年末年始の勤務表づくりに頭を悩ませている姿が見られます。年末年始の勤務希望表で、大晦日の日勤や、年が明けて2日目辺りからの勤務は希望者がいるのですが、最も不人気なのが「年越しの夜勤」。スタッフ間では、「ここ、2,3年入っていないから、今回は…」など、交代で入る暗黙のルール(?)もあったりします。
 その様な中、実は私は急性期、回復期、慢性期の病院で働いたことがあり、どの病棟でも年越し夜勤の経験があります。ある時期は、5,6年連続「年越し夜勤」だったことも(色々訳あって自分からの希望です😅)。そんな「年越し夜勤」、ドラマティックな出来事はこれまで、ありがたいことに無かったのですが(平穏無事に過ごすことが出来ています)、思い出と言えば…。
 年越しの夜勤入り、いつもは外来の患者さんや医療スタッフなど多くの人が病院内を行きかう中を通り、病棟に行くのですが、年末年始はいつもの休日以上に静まり返っています。
 病棟(入院中)の患者さんも、年末年始は家に帰ることが多いですが、様々な事情で病院に残る患者さんもいます。急性期の病棟などは、重症度の高い方(医療処置が特に必要な方)が多く病棟に残ります。急性期病棟では、深夜0時に一度全ての点滴を交換し、排泄物も処理して、1日に身体に点滴や水分などが入った量と身体から出た量を測定していた為、気が付いたら足掛け2年、尿瓶を抱えて汚物室にいました。
 回復期(リハビリ)病棟では、病棟の雰囲気は明るかったです。もちろん、自宅に帰られない患者さんの寂しさはありますが、介護士さん達が少しでも患者さんの入院生活を快適にしようと、患者さんと一緒に、いつも季節感のある飾りつけや、レクリエーション活動をしていました。特にある年の正月飾りは気合が入っていました。患者さんが作った可愛い正月飾りの真ん中に、ドーンと「〇〇(病院長の名前)神社」と書かれた鳥居。更に鳥居の前には賽銭箱まで(これが凄い力作)。正月飾りを片付ける際に、何と賽銭箱から500円玉が!どなたが入れて下さったかは分からず、病棟で話し合い、500円はレクリエーション活動費にさせて頂きました(スミマセン…。有難うございます(*- -))。
 精神科の静養病棟では、特に身体的には問題が無い方達ですが、家に帰る方は殆どいませんでした。先輩に「皆さん、家には帰らないのですね」と言うと、「お正月は、親戚一同が集まるからね。家族は(患者さんの)対応までしきれないから、病院に居てもらった方が良いのだよね」と。なるほど…。でも、何だか複雑な思い。いつもの消灯時間を少し遅くしてホールで紅白歌合戦を見たり、ゆっくり過ごして頂くようにしていましたが、やはり病棟内はいつもより少ししんみりしています。患者さんも、いつもの様に消灯時間には自分の部屋へ戻られます。消灯時間を過ぎてから、スタッフは交代で食事休憩に。私が当時働いていた病院では、夜勤者に軽食が付いたのですが、患者さんの夕食用配膳車と一緒に上がってきたスタッフの軽食は、お椀の蓋を開けると、汁を全部吸収して3倍に膨れ上がった年越し蕎麦が…。深夜0時前、夜勤スタッフと集まって、小さな声でカウントダウン。持参した甘酒で乾杯した後、そそくさと各自の仕事に戻ります。
 元旦の朝、早起きした患者さんを車椅子に乗せ、初日の出を見に(病院は、ちょっとした高台に建っており、病棟の一角からは、天気が良いと遠く海の方まで見えました)。太陽の光は何だか、いつも以上に体に染みる感じがします。夜勤明け、病棟から更衣室へ。やはり病院全体がシーンと静まり返っています。

この様なちょっとしんみりした年越し、新年もたまには良いのでは?
今年もよろしくお願いいたします。