詩
仙台の白頭翁
孫は 二才の女児
手をとり 林間の小径を辿る
夜来の雪 止み 道は
白雲のカーペットを 敷いたる如くなり
楢の木々 葉を落とし
幹や枝に ふんわり 白い真綿
朝日の光 キラキラと
あまねく 樹間に満ちたり
南面の道 ゆるやかに
丘を上り 頂きに至る
林 突如として切れ 跡形なし
木 みな 伐採されたがためなり
むき出しの 丘の斜面
一気に 北に下り 平地となり
遥か先にて 再び隆起す
然して 遠山の森の深緑 白銀に混じたり
ああ 女児
汝は かくも凄絶なる風景を前に
目に 心に
何かしら 哀しみを 抱かざるや
(平成29年2月)
劉希夷 「代悲白頭翁」
萩原朔太郎 「小出新道」 の二つを、下敷きにしている