第95回今年のお豆な話
稲穂が頭を垂れ、黄金色の田んぼから、そろそろ香ばしい香りが漂い始める季節です。
今年の夏も、長引くコロナ禍や度重なる災害級の大雨などで、身体や心が休まらない日が多かったのではないでしょうか。
体調を崩された方、大雨などの被害にあわれた方には心よりお見舞い申し上げます。
7月の3連休、居住地の大崎市では川が氾濫しました。
多くの家や田んぼや畑が水に浸かりました。
転作で増えている大豆も、地域によっては壊滅的な被害を受けています。
写真の右手前、今はまばらに草が生えている2枚は、本当は大豆畑です。
去年のコラムにも同じ場所の写真を載せましたが、大豆畑は葉っぱでモリモリでした。
若い芽が育ち始めたころに3日ほど冠水したので、あっという間に枯れてしまいました…。
生産者さんの「5年で3度も…」という嘆きと諦めの言葉に、なんとも言えない気持ちになります。
収穫が激減するであろうお豆。
なおさら有難くいただこうと思います。
最近は遠くにいる友人にも私が豆好きであると知られ、その土地のお豆が送られてきたりします。
ある時、ご縁のある土地の銀杏の木からまな板を作ってくれるという方がいて、形もサイズもお任せでお願いしてみました。
そうしたら! な、な、なんと!
箱から取り出した瞬間にわかりました。お豆の形です!
すぐにお礼の連絡を入れました。
私の喜びように、きっとニヤリとしていたと思います。
台所がユカイになりました。
大雨や台風が近くなると、なぜか本能的にお豆を煮たくなります。
「安全に火が使えるうちにご飯を炊いておこう」というのに似ているかもしれません。
7月の大雨の時も、「地域が水に浸かりませんように」と祈りながらお豆を水に浸けました。
その夜、豆仲間であるパン屋のお母さんとメールで安否を確認し、お互いにお豆を浸けたことを笑い合いました。
「お豆の浸水は、明日への希望だよね」
小さなお豆の大きな力。
さぁ、お豆を食べて、明日も生きよう。