第76回『上手な指圧には”リズム”がある？〜科学で見える職人の技〜』

指圧って、ただ「強い力で押せばいい！」と思っていませんか？実はプロの指圧には、一定の「リズム」や「力のかけ方のなめらかさ」があるんです。

指圧療法の研究では、持続圧とポンピング圧（例：1分間に60回の頻度で60秒間）という異なる圧迫パターンが技術の違いを生み出すことが明らかになっています。深部組織マッサージの圧力測定に関する研究では、セラピストが浴室用体重計を用いて正確な圧力を測定し、一貫した治療効果を提供する方法が開発されました。

体の力学に関する研究では、良い姿勢を保つマッサージセラピストは40ポンドの力を発生できるのに対し、悪い姿勢では28ポンドしか発生できないことが示されています。クライアントが25ポンドの力を必要とする場合、良い姿勢では最大筋力の62%で済みますが、悪い姿勢では89%も必要となり、疲労や怪我のリスクが高まります。

このように、今までは感覚や経験で伝えられていた”技”が、科学的に「見える」ようになってきました。技術教育も、いよいよデータで学ぶ時代に入っています。

宮本 成生