COLUMN

第74回『鍼で血流が変わるって本当? 〜超音波エコーで見る”体の変化”〜』

肩が重かったり、足が冷えてつらいとき、「血の流れが悪いのかな?」と思ったことはありませんか。実は、そうした感覚はあながち間違いではなく、鍼(はり)を使って血流を良くすることができるという研究結果が出てきています!
 
最近では「超音波エコー」という機械を使って、体の中の血の流れを画像として見ることができるようになってきました。Takayamaたちの研究では、血流の変化を「超音波カラードップラーイメージング(CDI)」という方法で、体に負担をかけずに詳しく調べています。
 
この研究では、18人の健康な大人を対象に、足にある「太衝(たいしょう)」というツボに鍼をしたとき、腕の血の流れがどう変化するかを見ました。その結果、鍼をしている間は一時的に血の流れが少なくなったものの、鍼を抜いたあとには、元の状態よりも血流がはっきりと増えていたことがわかりました。
また、これまでの研究をまとめた報告では、鍼をすると「交感神経(こうかんしんけい)」という体の働きをコントロールする神経が一時的に活発になって、一瞬だけ血流が減りますが、その後に皮膚や筋肉の中の血流がしっかりと増えることもわかっています。
 
最近では、鍼やツボ押しがアキレス腱のまわりの血流を増やすという研究もあり、昔から言われてきた「鍼は血のめぐりをよくする」という考えが、科学的に確かめられつつあるのです。しかも、患者さん自身が超音波の画像で体の変化を見ることができるようになったことで、鍼の効果を目で見て実感できるようになってきました。
 

宮本 成生