日本では、出産後のお母さん10~20%に産後うつ病が発症し育児への支障が出ています。
予防策として出産後に、産後うつ症状があるかどうかを「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」でチェックすることが全国で行われています。ハイリスク者には予防として家庭訪問や健診回数を増やすなどを行っています。「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」は多くの国で採用され、日本でも2000年代から全国的に行われるようになりました。この時期に私も厚労省の妊産褥婦の支援の研究班に参加していたので、積極的に推奨してきました。
2014年エジンバラで学会があり、東日本大震災後の母子の状況を発表する機会を得て、EPDS誕生の地へ行くことになりました。現地での活用方法、産後うつ病で入院中の母子に実際話を聞くことができ、大変有意義な時間を過ごすことが出来ました。が、それ以上に強烈な印象は、街の到る所にある長椅子でした。
きれいなゆったり座れるその長椅子は、どれも背当ての中央に“この椅子は亡き父親の想いをこめて”“やさしかった母に”・・・的な亡くなった方へのメッセージがついているものでした。公園はもとよりちょっとした広場にたーくさん!この椅子に座ったら、亡き人にいつでも会えるような気がしてきました。それぞれ個人の寄付で出来ている椅子でした。日本でもこんな素敵なことが出来る仕組みがあればいいなあと思いました。そうしたら、いつでも亡くなった親しい人とゆったりと座って心の中で会話が出来そうだと感じます。
学科長 佐藤 喜根子