第139回ニッポンの教育
髙橋 育子
長年続いた大学入試センター試験が廃止され,より思考力・判断力・表現力が問われる大学共通テストがはじまったことは記憶に新しいことですね。
日本の教育の特徴は,全員が同じレベルを目指して教育をすることが前提です。例えば,合格するまで何度もテストをしたり,全教科の成績をまんべんなく伸ばすことをめざしたりすることなどが特徴です。この方法で,あきらめず繰り返し取り組む姿勢を身につけ,努力によって能力を伸ばせるという考えです。
「教育」は英語で「エデュケーション」です。この言葉には「外へ導く」という意味があります。その言葉どおり,海外の教育は「教える」というより「生徒一人一人の可能性を導き出す,個々の力を伸ばす」という意味が強いです。生徒それぞれの能力に合わせた教育を行うのが特徴です。学校から課せられる宿題も自分で調べたり考えたりするものが多く,決まった解答があるものよりもいくつもの答えがあるような問題が出されます。
看護の専門科目には,決まった解答があるものよりもいくつもの答えがあるような,自主的・主体的に学ぶ必要のある科目がいくつかあります。そのひとつが『看護過程』という科目です。看護師として看護実践をより科学的に実践するために用いる思考を学ぶ科目です。私は学生のころとても苦手な科目で,答えが一つだけのほうがどんなに楽かと思いながら,課題に膨大の時間を費やした思い出があります。今になっても私は学生のみなさんの課題から着目点や発想から学ぶことも多い科目です。だから面白いとも言えるのかもしれませんね。看護の専門科目には,このような科目もありますが,一緒に楽しく学んでいきましょう!