第134回学校Ⅱ
佐藤 浩一郎
西田敏行演じる「りゅー先生」が教育を論じる場面で、新任のエリート思考の「こばちゃん先生」にいう。『与えるとか伝えるとかいうことじゃないんだよ、こばちゃん。あの子たちからいっぱいもらって、それを誰かに少しずつ返していく、教育とは、そういうことではないかと思うよ』と。
この場面、曖昧かもわかりませんが、本学に勤務の私の直近の5年間をふり返ると、そのような雰囲気や、創造力を考慮する必要があるのではないかと感じることもあったように思います。実際のところは、おなじ曖昧なものでも、自分自身の“理想・正義・常識”という物を生徒・学生に押し付けて、それをうまく切り取ってもらえなかったり・逆の意味に受け取られたり・こちらの思うような結果にならなかったりと、落ち込むことが多い日常です。
そういう意味では子育てと似ているようでもありますが、子育てと違うところは、利他的に【どれだけ相手に寄り添うことができるのか・相手のことを理解する努力】が必要なんだと認識しています。ですが、それに仕事という営みが重なれば、それは利他的というより『義務』にもなってくるんだと思っています。
教えることによって、自分が教えられていると感じ、それが年齢を重ねるごとに、これまでの自らの恥を取り去ることはできないと自覚するかのように効いております。もっというと、今の自分だからできることや感じとれることを通し、思想や信念を修正できただけでも幸運だと思っています。