仙台赤門短期大学 看護学科

宮城県仙台市の看護師養成学校|仙台赤門短期大学 看護学科

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教職員コラムリレー
Akamon Column Relay

第129回目的論・対象論・方法論

菊地 真

 タイトルを見ると少々難しそうに思えるかもしれませんが、中身はいたって単純な話です。

 目的とは、成し遂げようと目指す事柄であり、最終的に達成したいことです。
 対象とは、相手であり、方法とは、目的・目標を達成するための手段・やり方です。

 看護師は、看護を提供する場面で常に目的を明確にし、対象を多角的に理解し、その目的を達成するために対象にどのような方法でかかわるかを検討し、実践しています。
 もう少し説明すると、患者さんになぜその看護(援助)を行う必要があるのかを考え、対象となる患者さんの病状を含めた状態や年齢、性別、性格などを踏まえて、どのように看護(援助)を行うかを検討し、提供するということです。
 例えば、病気によって入浴ができない患者さんがいれば、その患者さんの清潔を保持する必要性について考え、対象の入浴ができない理由や何日入浴ができていないか、皮膚がどのくらい汚れているのか、患者さんがその状態をどのように感じているのかを確認します。そして、その患者さんの皮膚の正常を保ち、爽快感を与えるための方法を吟味します。温かいタオルで全身を拭くこと(全身清拭)がよいのか、ストレッチャー(キャスターの付いた担架)で横になったままもしく椅子に座った状態でシャワーを使って洗うのか、負担を最小にするために、部分的に手や足をお湯に浸して洗浄する(手浴・足浴)方法がよいのかを患者さんの病状・体調に合わせて方法を決めて、提供しています。

 どのような手段で行うかという方法論から決定してしまうと、その方法に縛られ、思考が狭くなってしまい、対象にとって本当に必要な看護(援助)が提供できなくなります。
 そして、この方法論では、対象の個別性が重視されます。前述しましたが、患者さんの病状を含めた状態や年齢、性別、性格などを含めた内容に加え、普段の日常生活の様式、運動機能、その患者さんの健康や病気に対する考え、思い、願い、価値観、信念など様々な情報を踏まえて検討しなくてはなりません。そのため、対象である患者さんをよく把握しなければ、適切な方法論を決定することが困難となります。
 看護学生たちは、この思考過程を繰り返し学習し、臨地実習で実践することで看護師として成長し、最良の方法の選択ができるようになります。

 みなさんも方法論を検討する前にまずはそれを行う目的は何か、よく考えてみてください。