第67回一寸の虫
仙台学長会議という会があります。
宮城県内在住の大学・短大の、学長さん達の集まりです。
学長さんはそれぞれ、国立学校法人・公立学校法人・私立学校法人のいずれかの大学のトップであり、
トップどうしが任意に集まり、自由に意見交換する場として設定されています。
ただし文科省からも宮城県からも、予算的な裏付けはありません。
お金がないので、力のなさそうな会ではありますが、今般のコロナ禍にあって、
存在意義を発揮した場面がありました。
昨年の秋、学生さんへの新型コロナウイルス・ワクチン接種が進められましたが、
これに実は、学長会議が一役、買っております。
学長会議の総意として、メンバーのお一人である東北大学総長にお願いをし、
仙台圏にある全ての大学の学生全員が、仙台駅前に設置されていた東北大学・大規模接種センターを、
学生枠として利用可能となった経緯があるのです。
そんなこともあってか、あるいはなくとも、十五名ほどからなる学長会議において東北大学総長の存在は、
何となくではありますが、他の全学長を圧倒しているかのような、雰囲気があります。
それも無理はないのです。
例えば、学生数ですが、彼方東北大学は~16,000名、此方赤門短大は240名。
全然、勝負にもなりません。
さて、私立学校法人の大学・短大にあっては昨今、そのガバナンスの在り方が厳しく問われつつあります。
つい最近では、日本大学という巨大大学の経営トップである理事長が脱税容疑で逮捕される事件があったりして、
私立大学には不祥事が絶えない。
文科省も堪忍を切らして、
「私立大学における法令遵守はどうなっているのだ。私立学校法人の経営者よ、いい加減にしなさい」とばかり、
法人の理事会や評議員会の在り方を、改革する方向で動き始めているようです。
それで、学長会議の席上、さるメンバーの方から、大学ガバナンスについて意見交換したい旨の発言があったのですが、
誰も賛同しない。
つまり、東北大学は国立学校法人なので、東北大学に遠慮して、
私立大学のガバナンスの話題を取り上げることに皆さん、躊躇しているようなのです。
小生は、はなはだ驚いてしまいました。
会議にあっては、東北大学総長であれ、他大学学長であれ、それぞれが1構成員です。
意見を言うのに、忖度や気兼ねする必要はないはずです。
話が飛んで、ガバナンスそのものについても、述べておきましょう。
日本私立大学連盟とか日本私立短期大学協会といった連合組織が、ガバナンス・コードの見本を作成し、
それに準拠して各大学がコードを作成し公表するよう、文科省から指導されております。
自分で作成する手間が省けて有難いのは確かですが、かといって丸写し(コピーペースト)、
あるいは、クリックして連盟(協会)文書を見よ、というのでは、あまりにも情けない。
それぞれの大学にはそれぞれの建学の精神があるでしょうに。
精神あっての法令遵守でしょうに。
さらには連盟(協会)文書にある「ステークホルダー」への配慮。
何でも英語にすりゃ良い、何でもアメリカの企業方式にすればよい、というわけではないでしょうに。
「ステークホルダー」なんて概念は、少なくとも大学にあっては、小生は大嫌い。
本学のガバナンス・コードでは、「学校関係者」に直して置きました。
どうも、話のまとまりがつかなくなってきましたが、
ことほど左様に、長いものに巻かれろ、大きなものに忖度する風潮は、強くなるばかりです。
我らが仙台赤門短大は、確かにごく小さな短大ではありますが、気概は持っていたいと願っています。