第39回東洋医学特別コラム第1回「気象病と五月病を東洋医学で考える」(全3回)
「うちのおばあちゃんが『膝が痛い』と言っているから明日は雨が降る」だとか、
「台風が近づいてくると頭痛がする」なんて聞いたことはないだろうか。
こうした気温や気圧など気候変化によって引き起こされる様々な症状の総称は気象病と呼ばれている。
また新入社員や新入学生などが新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称は5月病と呼ばれている。
やる気が失せ、悲しくなったりイライラしたり、感情面の症状が多く訴えられているようである。
私たちは常にこうした気候や天気などの外的な影響と、社会生活におけるストレスなどの
内的な影響を受けており、環境の変化と日々戦っている。
過度の影響は心身の平衡状態を崩し、病を発症させる原因となる。
病院に行くほどではないけれど、ちょっと気になる不定愁訴を抱えていないだろうか?
原因はこれらにあるかもしれない。
東洋医学では外的な影響を六淫(ろくいん)といい、風・寒・暑・湿・燥・火(熱)の6つが要因としてあげられている。
悪い影響を与えるので「邪」と付けて言われ、風邪(ふうじゃ)は痒みやめまいを生じ、
湿邪は関節痛や頭痛を生じさせるなどと考えられている。
六淫への対処法のひとつは汗をかくことである。
無理のない範囲で運動して発汗することで六淫を体外へ追い出すことができる。
そして内的な影響を七情(しちじょう)といい、怒・喜・思・憂・悲・驚・愕の7つが要因としてあげられている。
「そんなに怒ると血圧が上がる」だとか「思い悩んで食欲がない」などと、
感情面は特に自律神経を介して身体に影響を及ぼす。
七情のコントロール方法の一つは、特に呼気をゆっくり行う深呼吸である。
緊張すると気づかないうちに呼吸が浅くなり苦しくなる。
緊張が持続すると背中が丸くなり更に呼吸しづらくなる。
ストレスを感じている時には意識して呼吸することを試みてほしい。
東洋医学の理念として六淫七情を紹介したが、何か思い当たる症状があったら、
そのコンディショニングを目的に鍼灸マッサージによるケアもぜひ試してもらいたい。